新しい音楽ビジネス「Prime Live Events」amazonは音楽業界へどのような影響を与えるか!?

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常に革新的な発案や展開を繰り広げているamazonですが、お次はなんと新しい音楽の楽しみ方として提供する音楽コンサートビジネスをイギリスにて開始しました。その全く新しい音楽ビジネスとして開始されたのが「Prime Live Events」という名称の音楽イベントです。amazonによる全く新しい音楽ビジネスとは一体!?

新形態の音楽ビジネス「Prime Live Events」が展開するサービスとは?

こちらの「Prime Live Events」はamazonプライム会員向けへの新しいサービスとして、amazonが手掛けた独自の音楽ライブコンサートを従来とは全く新しい形でリスナーへ提供するサービスとなっているそうです。この音楽ライブコンサートはamazonのプライム会員のみがチケットを購入できるほか、収録される映像は後にamazonプライム・ビデオで国際的に配信されるとのことです。amazonの音楽コンサートビジネスへの本格的な参入は、この「Prime Live Events」でのサービス提供が初めて。この新しい音楽ビジネスについてamazonは以下のようなコメントを残しております。

 

「メジャーなアーティストのライブを、有名かつ親密感ある会場、間近でパーソナルに体験できる。」

 

amazonが打ち出す音楽ビジネスでの「親密感」とは?

Intimate, exclusive, live. Welcome to Prime Live Events.

発表時点では2017年5月から7月にかけて、まず5月23日にはニューヨーク出身のニューウェーブ・バンドである「ブロンディ」(Blondie)が既にこのamazonによる音楽コンサートビジネスである「Prime Live Events」への出演を果たしています。6月12日には元ヤズー(Yazoo)のイギリス人シンガーソングライターであるアリソン・モエット(Alison Moyet)など、4公演がいずれも英国ロンドンにてライブコンサートを行う予定となっております。こちらのライブ予定は毎週火曜日に更新されることになっているみたいです。6月12日のアリソン・モエットのライブではアリソンとファンの間でQ&Aセッションも予定されているとのこと応援しているファンの方からすれば楽しみなのではないでしょうか。こちらのコンサートについてはバンド「ブロンディ」のオフィシャルサイトでもライブ出演の告知が行われています。つまり、出演アーティストが個人で行っているプライベートでのイベントや各アーティストの公式ファンクラブ会員限定イベントなどのような括りでは一切なく、公式的に出演しライブが行われるれっきとしたオフィシャルライブイベントとしての扱いであることが分かるかと思います。

 

次に気になるのは、やはりライブイベントが行われるコンサート会場や規模ですよね。このライブイベントが開催される場所はロンドンのハックニーにあるRound Chapelという会場だそうです。会場の規模としてRound Chapelのキャパシティ(収容人数)は約750人と小規模なため、amazonが目指している

「メジャーなアーティストのライブを、有名かつ親密感ある会場、間近でパーソナルに体験できる。」

というコメントのままにアーティストとリスナーの「親密感」を実現していることになります。キャパシティを広げることに着目しがちな音楽の業界で敢えて小規模にターゲットを絞っていくとは本当に目からウロコですよね。なんともamazonらしい戦略なのではないでしょうか。

会場の規模についてあまりピンと来ていない方へ参考がてら。Round Chapelのキャパシティ(収容人数)が約750人ですのでこの収容人数を都内のライブハウスに例えるならば渋谷のQUATTROが公式発表キャパシティ800人と、ほぼ同じ規模な会場と言えます。

チケットの販売方法や仕組みについて

ではチケットの販売方法や仕組みについても触れていきましょう。「Prime Live Events」のチケットに関してはamazonのサイトのみでの販売となっており、チケットの払い戻しや転売行為は行えない仕組みになっているみたいです。そして面白いのが、「Prime Live Events」では一般的な紙チケットの発券も行っておりません。「え?一般的な紙チケットの発券がないのにどうやって入場するの?」とお思いの方もいるかと思います。では、紙チケットの代わりに何が必要なのか。「Prime Live Events」では紙チケットの代わりに、購入者のID(名前)が会場のゲストリストに登録され、コンサート当日は購入者が自分を証明できる写真付きIDを持ってくるだけで会場に入場ができる仕組みとなっております。この仕組みをとることによって、仮にチケットを紛失してしまってもamazon側に購入の情報データが残っているので自身を証明できる写真付きIDを持参されば会場に入ることができるということになります。そして何かと問題やトラブルの原因となっている悪質な転売行為も抑えることができるまさに一石二鳥のシステムということになります。こういった仕組みひとつ取ってもamazonらしい画期的でかつ便利なチケットの販売方法と言えるのではないでしょうか。

チケット購入の手順は、アマゾンのサイト内で人数を選ぶだけ。IDやパスワードのサインインもなく、簡単なプロセスで買えます。ブロンディのチケットは一律150ポンド(約2万円)で発売されています。アマゾンはチケット価格を75〜150ポンド(約1〜2万円)と表示していますが、今後変わっていくかもしれません。

 

ブロンディのコンサートチケット比較グラフ
一般一律150ポンド(約2万円)
amazon75〜150ポンド(約1〜2万円)

 

他の業界とは一線を画すかのようなamazonの音楽ビジネスと戦略

ここまでamazonによる音楽ビジネスへの革新的な取り組み方についてを述べてきましたが、こういったことを書くとこちらの記事を読んでいる方の中には今後amazonが音楽業界やライブビジネス市場へ本格的に参入していくのではないか?と思う人も多いのではないかと思います。しかしながら、amazonがイギリスで開始したこのチケット販売サービス「Prime Live Events」や「amazon tickets」といったサービスは、amazonにとってはあくまでもプライム会員を拡大していくために行っているサービスのひとつであり、音楽業界で勢いのあると言われるライブ市場からの収益をamazonが狙っているとは考えにくいのではないかと思います。

今後もしもamazonが世界の音楽ライブ市場へ本格的に参入をしはじめたとして、そこにはライブ・ネイションやAGEといった大手のプロモーター、もしくは日本のクリエイティブマンやキョードー東京のようなローカルな音楽ライブ市場に圧倒的な強みを持っているプロモーターとamazonは競合しなければいけなくなります。ここでamazonが音楽ライブ市場でそういった強豪であるプロモーターと競合するというのはあまりにも音楽業界や音楽アーティスト、そしてマネジメントとの関係性やイベントでの経験やノウハウといった面から見てもamazonが不利な立場になることは想像がつきますし間違いないと思います。そういった側面を補うためにもamazonからしてみれば長期の戦略が必要となってくるのではないでしょうか。つまり、amazonが打ち出そうとしている音楽ビジネスは一般的な音楽プロモーターとは一線を画した、全くもって異なる新しいビジネスモデルであり、音楽ライブビジネスを違って視点から見ているのがamazonなのです。

amazonが力を注いだチケットビジネスとは?

そして一方で、amazonがその中でも力を注いできていたのは、チケットビジネスです。現在もう既にイビリスでは「amazon tickets」が立ち上がり、直接サイトの中からチケットの販売を行っており、そこに加えて先日には選ばれたイベントやコンサートでは他社よりも早く先行でのチケット販売を開始するといったアップデートを加えました。

チケット購入での決済をすべてamazonのアカウントで簡単に行うことができるため、従来よりもチケットを購入するまでの面倒な手間を大きく低減することに成功しました。さらに、音楽イベントや音楽アーティストに関連したコンテンツや商品の購入、そして「Prime Music」や「amazon Music Unlimited」などといった音楽ストリーミングサービスによるコンテンツの楽しみ方、利用、さらにはamaonEchoでの再生にいたるまで、amazonのサイト内で顧客をターゲットにでき、多角的にマネタイズが可能となります。amazonと他社で扱われている定額制での音楽ストリーミングサービスとで比べたときの両者の戦略の面でもっとも大きな違いは、amazonは他社がターゲットとしてとにかく必死に獲得したがっている20〜30代とった比較的若い音楽好きなユーザーよりも、どちらかといえば年齢は上で、メインストリームな音楽を好むユーザーをターゲットにしているという点ではないでしょうか。こういった両者の違いこそ、amazonが業界のルールとは全くもって異なる戦略を進めているという背景が見えてくるのではないでしょうか。そのため、販売するチケットの価格も150ポンド(約2万円)と高価格帯な設定にするのではと考えられますし、他社のような若者をターゲットとしたコンテンツ戦略に執着する必要もないということになります。

いずれはイギリスのみにとどまらず海外へも展開を広げていくと予想される「Prime Live Events」に対して、「amazon tickets」が今後はどのようにプライム会員向けサービスとして、差別化を図ってくるのかは注目的ですよね。例えば、チケットの転売や、チケット先行受付、各種コンテンツやグッズとのパッケージ販売と、これまでのチケットサービスに対するオルタナティブとなる可能性があり、ユーザーにとってはメリットは出てくるのではないかと予想してしまいますよね。さらには、いずれはamazonEchoのスキルや、IoTとAlexa連携で、チケットの購入が音声のみで行えてしまうなんて世界も見えてくるのではないでしょうか。実現すればそれは大きな未来だと感じます。

音楽をレコメンドし続けていかなければ行けない音楽ストリーミングサービスにおいて、チケット販売や音楽イベントまでを実現している既存のサービスは他にありません。そんな中でamazonの場合は、チケットに併せてさらに音楽をMP3、CD、ストリーミングでレコメンドすることも、動画、グッズをレコメンドすることもユーザーのデータを分析して可能ですし、ユーザー次第でそれぞれの好きな楽しみ方ができるサービスを一元的に集約し始めているのです。

ただ音楽を聴くだけではちょっと物足りないなと思った人が増え始めた時、さらに新しい音楽を探したいのか、それともライブや動画、アーティストによる本や写真集を見たいか、amazonが打ち出すモデルは、21世紀型の音楽ビジネスとして脱音楽特化型サービスという、いかにもamazonらしさが見えてくる音楽の未来の一つと言えるのではないでしょうか。

おわりに

今回の「新しい音楽ビジネス「Prime Live Events」amazonは音楽業界へどのような影響を与えるか!?」についての記事はいかがでしたでしょうか?常に革新的な発案で私たちを驚かせてくれるamazonですが、こういった従来とは全くもって違う新しい音楽ビジネスへの参入ということで、今後の動向から目が離せなくなるのではないでしょうか。さらには新しい音楽ビジネスの中で近年問題となっているダフ屋によるライブチケットの悪質な転売行為などを避けるためにも多くの厳しい規則を設けたり、紙チケットを廃止し代わりに購入者の証として写真付きの身分証明書を持参しなければ会場へ入場ができないという斬新かつ画期的な発案によってダフ屋行為という問題すらもこういったシステムを導入することによって解決につながっていくのではないかと思います。このような他社との一線を画するamazonの姿勢こそが新しい未来への形を象るのではないでしょうか。